要旨
日本の戦後80年を考えるために。戦争はどのような傷跡を私たちの心と社会に残したのか。現在にまで及ぶその影響を歴史学、社会学、精神医学、臨床心理学、ジャーナリズム等の協働により学際的に検討する。
目次
- 第1部 日本における第二次世界大戦の経験(実践報告 第二次世界大戦と日本に関するドキュメンタリー番組に取り組んで
- 戦争はどのように拡大し、何が起きたのか―日本の中国侵略から太平洋戦争への道
- 労働力動員からとらえる日本の戦時体制
- 「戦争孤児」たちが最も苦しんだのは「親戚」「家族」
- かろうじて語られること・それでも語られないこと―四つの論考から考える)
- 第2部 日本の戦争への対応(実践報告 メディアの戦争責任に関する断章―国策通信社の末裔として絵本『かわいそうなぞう』を読む
- 戦時下の軍人の妻の立場について―一九四三・四四年の軍事援護学における議論
- 戦死者はどのように扱われたのか?―日本における海外戦没者処理の展開
- 迫悼の形式―悲劇的な出来事と文化的トラウマ
- 戦後日本の「喪の不能」と神話的思考―恥と罪悪感のあいだ)
- 第3部 トラウマとポジショナリティ―戦争の被害者・加害者としての日本(実践報告 慰安婦被害者の聞き取り調査という体験から気づかされたこと
- 「いけにえの島」における住民と兵士の相克、そして沖縄戦PTSDの発見
- 日本軍兵士と「加害者のトラウマ」
- なぜこんな目に遭わなくてはならなかったのか―原爆被害者の苦しみとその意味の追求
- コミュニティ心理学からみたトラウマ―四つの論考から考える)
- 第4部 第二次世界大戦の長期的影響(実践報告 日中戦争によるトラウマの世代間連鎖と修復の試み
- 第二次世界大戦のメンタルヘルスへの影響―自殺に焦点を当てて
- 「身体化された軍隊経験」、「復員兵の子」というポストメモリー
- なぜ日本人は戦争体験をオープンに語り、経験を振り返ることができないか
- 沖縄戦の記憶と「沈黙の共謀」―四つの論考から考える)
- 第5部 連続シンポジウムへの応答(トラウマを学びつつ、旧満州に渡った女性たちの語りを振り返る
- トラウマ記憶の抑圧・否認をめぐる文化的構造―表象文化論および映像研究の立場から
- 海外の精神科医の視点から―戦争で反対の立場にいた者の子孫として
- 〔講演〕日本の第二次世界大戦のトラウマを癒す―世代間、集団的、文化的観点から)
著者紹介
- 竹島 正
- 川崎市総合リハビリテーション推進センター所長、一般社団法人全国精神保健福祉連絡協議会会長。自治医科大学医学部卒業。博士(医学)。専門は精神保健・自殺予防。高知県精神保健センター所長、国立精神・神経センター精神保健研究所精神保健計画部長、川崎市精神保健福祉センター所長等を経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
- 森 茂起
- 甲南大学名誉教授。京都大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。臨床心理士、Independent Member of International Federation of Psychoanalytic Societies。甲南大学文学部教授等を経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
- 中村 江里
- 広島大学大学院人間社会科学研究科准教授。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。一橋大学大学院社会学研究科特任講師等を経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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